対談記事

本記事は寄稿記事となります。

SNSの繋がりから同じく品質保証部でご活躍されている【かばたあきこ】さんと対談させていただきました。私も転職した会社は非車載業界でしたがIATF16949の取得を目指していました。そして、かばたさんも同じく自動車業界外でIATFをお勉強されている一人でした。

今回は、かばたさんのご提案で記事の寄稿をいただいたので掲載したいと思います。(ありがとうございました)

かばたあきこ さんの略歴

日系製造業一筋15年。品質保証に従事しながら副業でライター活動中。社内FA申請で建材部門品管から半導体部門品証へ移籍して、IATFの勉強を始めたばかり。

NOTE;【ポートフォリオ】記事執筆します‗品証ライターかばたあきこ|かばたあきこ|note

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品質保証に必要なスキルとは?

(あきこ)
品質保証の仕事で数社を渡り歩いてきたショーンさんにお話を伺います。
ズバリ品証の人間に必要な能力って何だと思いますか?

(ショーン)
2つありまして、まずはQMSやISOといった仕組みへの理解です。

枠組みが分かっていないまま、現場任せの品質管理では改善は進みませんし、顧客との共通言語としても仕組みへの理解は重要です。

よく仕組みより中身が大事、なんていう品証もいますがクライテリアを理解しないままだと必要な指示が現場に出せずに泥沼化するケースがしばしばありますよね。

でも逆に、仕組みにオーバーコミットしてしまい不必要な指示を出している場合もあります。そこの引き際を見定めるためにも仕組みへの理解は重要ですね。

あと転職の視点から見ても、仕組みを知ってると全体像の把握ができるのでアピールポイントになります。

(あきこ)
なるほど!ショーンさんのHPはまさに仕組みへの理解の助けになりますね!

(ショーン)
ありがとうございます。

もう1つはコミュニケーション能力です。

品証は自分で手を動かすより人に動いてもらうのが仕事ですので、円滑なコミュニケーションは必須です。自分より年上や目上の人に指示を出すケースも多いので、反発を受けることもありますよね。そこを切り抜けられるような精神的なタフさとコミュニケーションスキルはかなり重要です。

(あきこ)
精神論ですがタフさはとても大事ですよね。

(ショーン)
コミュニケーション能力と言えば、カスタマー部門の品証だと社外との交渉スキルもほしいですね。

交渉スキルを上げるには場数を踏むことは大事だと思います。お客さまの温度感やゆずれないポイント、弱みなどを掴むスキルがあるとグッと交渉スキルがあがります。顧客とのコネクションが強い品証は社内にも強く出られますよ(笑)

IATF取得の難しさ

(あきこ)
ショーンさんのHPではIATFの記事が人気だとお聞きしました。
仕組みについて知りたい方、仕組みの重要性を痛感している品証の方が多いと推測します。

やはりIATFを取得している企業とそうでない企業は違うと思いますか?

(ショーン)
僕は1社目と3社目が自動車業界でIATFを取得済の会社です。

一方2社目は半導体関連の企業でIATFは取得していませんでしたが、仕組みとして取り入れるためのISO/IATF運営事務局に在籍しました。

やはりIATFを取得していない、あるいは自動車業界ではない企業は品質保証の仕組みが弱いと感じますね。IATFではAPQPなど品証が「品質を保証しています」と顧客に宣言する場面が往々にしてありますが、IATFを取得していない企業ではそこは不明確になりがちです。

特に2社目は品証が支援プロセスというか、困ったときにだけ出ていくというスタンスだったので、IATFの取得には程遠いなと思いました。

(あきこ)
私の勤め先もそうですが、もともと自動車業界ではなかった企業がIATF取得を目指すケースが最近増えてきているように感じます。

そういった企業のIATF取得に対するハードルは何だと思いますか?

(ショーン)
モノづくりの考え方が全く違うので、IATFをやる意味を製造が理解できないことが多いと思います。

自動車業界では数年おきにモデルチェンジが当然です。自動車メーカーから数年後に発売する○○という車に対し、部品メーカーが見積もりなどの計画書を提出し、そこから選ばれた部品メーカーが試作を重ねていくというスタイルです。

この試作を重ねる際にマイルストーンを設置してAPQPなどのドキュメントを作成していきます。自動車業界ではこのようなプロジェクトが新しい車種の発売ごとに行われます。

車種ごとに必要な部品の性能や工程を一から見直すので、そのたびにFMEAやポカヨケが必要になります。

一方、自動車業界ではない製造業ではこの数年おきのプロジェクトという概念がなかなか通じません。特に2社目のような受注産業だと同じ部品を大量に何年も製造しますし、自分たちの持っている製造機が大型なので条件変更も自動制御なことが多いです。こうなるとFMEAやポカヨケの目的や概念が伝わりにくいですよね。

また外資だと簡単に人が辞めますので、そういう意味でも仕組みが重要になりますね。

(あきこ)
確かに人や工程が頻繁に変わることは少ないですよね。そこに乖離があるのでしょうね。

(ショーン)
IATFという仕組みでは必要なドキュメントが明確なので誤魔化しがききませんしね。その仕組みの強さが品質の向上に繋がっていると思いますね。

対談の感想

(あきこ)
ショーンさんはさすがに数社渡り歩いてきただけあって自信に溢れている方でした!

経歴もさることながら、きちんと勉強されていることが自信の裏付けになっているのだろうなと感じました。

またIATFを取得している企業と取得していない企業の両方を経験されているので、IATF取得のどこにハードルがあるのか実感として理解されているのだろうなと思います。

さいごに

かばたさん、記事の寄稿ありがとうございました。

今回はひょんなことから対談をさせていただき、他社の悩み事を知ることができました。自動車業界において、当たり前にやっているIATF16949の仕組みですが他業界にいると、なかなか構築・運営することが難しく『仕組みだけあって運用されていない』といったケースも多いのではないかと思います。

こういった悩みって自分の会社だけしか見れない環境だと、なかなか解決の糸口を見つけることが難しいのではないでしょうか。少しでも社外に目を向けてみることで、新しい発見ができることも多いような気がします。