【外資買収の恐怖】勤めていた会社が破綻した

私はずっと『会社に依存しないキャリア形成』を意識して働いています。

なぜなら、新卒で入社した会社が破綻する様子を身近に目の当たりにしてきたからです。

新卒で入社した企業は100年弱も歴史のあった東証一部上場企業でした。

その会社が破綻した。

『うちは無くならない。今後も伸びる!』『東証一部上場企業だぞ!?安心だよ!』『ずっとこの業界で長くやってるからね〜』そう鼻高々言っていた50-60代社員。

今は、もういない。

今の日系企業は終身雇用や年功序列といった、昔ながらの『安心』が崩れることも珍しくありません。実際に大手電機メーカーなども大量のリストラや経営改革に取り組んでいる企業も多いのではないでしょうか。

こちらの記事を読んで、本当に皆様のキャリアが『安心なのか』『これからも同じ状態が続くのか』見直す機会になっていただければ幸甚です。

幸いにも私はまだ20代だったので転職は簡単でしたが、いざ『転職をしたい!』と思っても、転職をしてこなかった従業員が、いきなり転職をしようというのは困難極まりないと思います。

『転職はせずとも、転職活動はしておくべき』と考えるのは、このような経験を経てきたからです。

今回は、私が勤めていた企業が外資系買収を経てどのように変化していったのかを書いていきます。

手遅れになる前に動いておきましょう。

目次

経営層の一新

外資系企業に買収されると、あたり前だが経営者が外国人になります。

いきなり変わるわけではなく、はじめは経営者同士が会話を重ね、中長期計画を立てていた。買収後は外国籍の社員が一気に本社へ流れてきました。メインどころの部門には外国籍の社員が配属され、細かな現状確認が行われた。

どこから確認されたかというと、やはりコスト。開発費や部材費、品質部門ではロスコスト管理を強化するよう指示がありました。

細かく分割されコスト構造を明確にするようになった。コスト構造自体も見直され、今までやっていた見積り方法も外資系になったことで変わった。営業は大変苦労していたと思う。

必要な部門と不要な部門

もし会社が突如として外資系になったとき、あなたの所属部門は必要とされる部門でしょうか?それとも・・・

幸いにも日本の自動車業界における品質は特殊のようで、外資もすぐに品質保証に入り切れなかったよう。

いや、品質保証の改革は後回しになっていただけかもしれない。

とにかく他部門に比べて大きな改革もなく今まで通りの仕事をしていました。

我々の部門は『必要な部門』と位置付けられたようで、大きな改革は行われずに済んだ。しかし残念ながら、中には外資企業から『不要な部門』と見做され他部署もありました。

その部門にいる従業員は各工場に異動させる話も出ていた。

ずっと馴染みのある地域で働き、そこに家庭がある方もいらっしゃいました。中には、家を持つ人もいましたが、遠方まで通勤する人もいました。

そこに個人の事情など一切介入されずに、組織改革の強行突破。日系企業は安心と呼べる姿は一切ありませんでした。

『君の部署は何も無くて良かったね・・・』そういう言葉を投げかけられることも。部署が違うというだけで、ここまで大きな違いがあった。それほど残酷な組織改革だったと、若いながら強い印象でした。

必要とされるのは英語力

元々が日系企業だからって、外資系に買収されれば『英語が話せるかどうか』が鍵になってくる。いくら能力があろうと、いくら日系時代に偉かろうと、英語が話せなければ意味がない。

英語ができないと、能力があっても評価されない。逆に英語だけできれば能力がなくとも評価されることも。

長年日本企業で働いてきた社員は『英語なんか今更・・・』という反応。英語がネックでたくさん辞めた人も知っている。仲には50代後半から英会話に取り組む社員も。

逆に英語が得意な社員は、知識やスキルが無くても話せるだけで気に入られた。若手社員の方が英語に抵抗が無い人も多く、下剋上が起きていた。

買収の予兆

外資系による買収は、当たり前ですが隠密に行われる。ただ一つだけ予兆があった。

『工場に外国籍の人が出入りする頻度が増えた』のだ。

今となっては「まぁ当たり前か」と思うだろうが、親会社となる外資系の人間が工場の視察を行うのに、当時の誰一人として気付かなかった。

工場では小さな噂として流れていたが、それから1ヵ月やそこらで買収のことが公になった。

現場では、小さな動きも見逃せない。

自主退社公募

元々、経営難であったのもあるが、外資系に変わり大規模なリストラが行われた。よく聞く『退職金が何割増しなので退職しませんか?』というアレ。

対象社員は部門長と個別面談を行っていた。

ここでも「必要な社員」と「不要な社員」の選別が行われた。

残念ながら「不要な社員」と位置付けられてしまった方は、何度も何度も面談を重ねて退職を促される。中には「もう疲れちゃったから退職しても良いかな・・・」という言葉を漏らす方も。

部門長でダメなら、その上も役員も出てきて面談が行われたという噂を聞いた。(本当かは定かではない)

セカンドキャリア講習

リストラと並行して行われるのは『セカンドキャリア講習』

これからどう生きていくのか、会社や環境が変わることへの精神的不安を払拭するよう講習が行われたようだ。

また求人の紹介や転職(職探し)の手伝いも会社がしていた。それほど人を減らしたかったらしい。

社内電子掲示板に毎度掲載され、対象年齢の人は必須講習に位置づけられていた気がする。

若手に任される通訳

これは既に退職した私の一番仲の良かった同期の不満。彼は英語が得意だったが、通訳として無関係の会議にも出席するよう言われ、毎度のように自分には関係ない会議で通訳をしていた。

始めは英語力が鍛えられると喜んでいたが、数か月後には『なんで俺がやるんだよ』と文句をたれるようになった。

もちろん、彼が退職することは言うまでもない。

『辞める』といえば何でも叶う

若手~中堅の退職が止まらない。こうなると『辞める』といえば、何でも叶うようになる。

もはや管理職も会社の機能/制度も機能していない。

私の後輩(留学で英語ペラペラ)は品質保証の経験が無いのに『私、異動できないなら退職します』の一言で管理グループに回った。

長期海外出張をしていた先輩は、出張の終わりを決めない上司にキレて『鬱になって、会社に行けないから日本に帰りたい』と言い、帰国したその足で心療内科に行き、診断書を出して休職。

『辞める』と言えば、給料も上がり、所属部門も変えられる。好き放題。

残った社員へのしわ寄せ

おじさん社員はリストラ、若手〜中堅社員は転職。今残っている社員に業務のしわ寄せがきていると愚痴を溢した在籍中の同期。

残業も多い、仕事もたくさん、人が減った分、残る社員にシワ寄せが来る。

しかし年収はさほど変わらず。転職した人の方が年収が上がるが当たり前になっていた。そんなんなら、いっそ転職してしまった方が良い。そして、また若手~中堅社員が減っていく。

バックオフィスの退職には気をつけろ

これはよくある話かもしれないが、会社が傾き始めると財務や人事から退職し始める。

私の会社でも、財務や人事が一気に退職し始め『ヤバいんじゃね』と噂がきたと思いきや、一気に赤字になった。

ボーナスは減った。残業規制もはいった。手取りが減った若手はかなり生活がきつい。

外国人に歯向かった課長の行方

とある部署の課長が、上からの指示に従わず歯向かっていたようだ。すると『猶予を与えるからじっくり考えろ』と窓際部署に飛ばされた。

その課長も悩んだ末、転職の道を選んだ。

外資系に買われたら、人間として扱ってもらえないのかもしれない。


最後に

一応、私が勤めていた企業は、それなりに歴史ある日系企業でした。しかし、外資系に買収されると、当たり前が普通ではなくなります。

「うちは大企業だから大丈夫」と思う人もたくさんいるだろうけど、いつ自分の組織が本体から切り離されるかわからない。

外資買収じゃなくても、日常が日常じゃなくなるリスクなんて山ほどあります。

だから、私は会社が変わってもどこでもやっていけるキャリアを目指したいと思ってる。

実際にこのような経験を通し、より一層、そういう考えが強くなった気がします。

変わらない明日がくるとは思わないほうが良い。

だから私は「転職はせずとも、転職活動はしておいた方が良い」と思っています。手遅れになる前に、他の会社で働くイメージを持っておいた方が良い。

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この記事を書いた人

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外資系Tier1メーカーで品質保証をしています。ADAS部品の開発が本業です。

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