なぜなぜ分析はご存知でしょうか?
トヨタ生産方式の代表格の分析方法です。なぜ?という問いを5回繰り返し、その問題が起こった根本原因を究明する手法になります。
今やなぜなぜ分析は、世界中でも使われている分析手法になり『why why analysis』や『5why analysis』とも呼ばれています。
今回は、しっかりとなぜなぜ分析をできるよう、基本的なやり方を解説し、顧客報告書で用いたらわかりやすく表現できるノウハウをお教えいたします。
こんな方にオススメの記事
- 製造業で勤務されている方
- 製造業で改善をしている方
- 顧客へ不具合報告を行う方(営業、FAE、品質保証など)
- 不具合の報告書を作成する方
なぜなぜ分析とは?
なぜなぜ分析は、トヨタ自動車から生まれた問題解決方法の1つです。
『トヨタ生産方式』の代表的な手段の一つで、1つの問題に対して『なぜ?』を繰返し、原因を見つけていく手法になります。
ここでいう『トヨタ生産方式』とは、大野耐一氏が体系化し著書のことをいいます。なぜなぜ分析の他にも様々な手法が書かれているので、気になる方は是非参考にしてください。
なぜなぜ分析の例
まず簡単にイメージが沸きやすいように身近な例を元になぜなぜ分析をしてみました。
(この分析には、いくつか欠点があるので、参考にしないでください。今回の解説でより良い分析ができるようになります。
左側の1W、2W・・・は、一回目の『なぜ』、二回目の『なぜ』を表しています。
調べたい問題の事象を一番上に記載します。
例えば今回の例でいうと『出社する時間に遅れてしまった』原因を探ろうとしています。
一回目の『なぜ』では、『いつもより家を出るのが遅かった』事が原因と判断しています。
更にその『いつもより家を出るのが遅かった』原因を、二回目の『なぜ』で分析をしました。
どうやら『いつもより支度が長くなってしまった』ようです。
それらを重ねていくと、
髭剃りのバッテリーがなかったようですが、昨日息子さんが使っていたようです。どうやら最近になって息子さんは同じ髭剃りを使うようになっていたようで、一番の原因は親が子供の髭剃りを予め準備できていなかったことにあります。
このように『なぜ?』を繰り返していくことで、
例えば『備品の準備不足』であったり、
『息子の成長をしっかりい親が把握していなかった』とか、
『親子のコミュニケーション不足があった』とか、
色々な原因を考えることができます。
基本的には5回まで『なぜ?』で深堀りをするのですが、もちろん5回以上を行っても構いませんし、途中から枝分かれをしてもOKです。
本当の原因が見つかるまで『なぜ?』を繰り返します。
なぜなぜ分析をするときの注意点
一見『なぜ?』を繰り返していくだけなので簡単な手法に見えますが、簡単だからゆえの落とし穴があります。
例えば、いざ実践をしてみると迷走して解決策が見いだせなかったり、分析途中で道が逸れてしまい思いついた解決策では問題が解決しなかったり…
そうならないためにも、なぜなぜ分析をするときに必要な注意点を解説します。
解決したい問題は抽象的にしない
なぜなぜ分析をする前に、原因を探りたい問題を明確にする必要がありますが。
この問題は抽象的に記載をしないで、なるべく具体的に記載をします。
例えば、
悪い例:出社する時間に遅刻をしてしまった。
良い例:家を出る時間が遅く遅刻をしてしまった。
上記の悪い例では ”遅刻をした” という事象のみをピックアップしていますが、
具体的に”家を出る時間が遅かった” という問題の原因を探る事をゴールに設定することで、明確に原因を究明できます。
なぜ?同士の繋がりを意識する。
分析をしていくうえで非常に重要なのが、1W・2W…同士の繋がりです。
正しく繋がりがない分析をしてしまうと、本当の原因ではない解にいきついてしまい、その解を解決したとしても、本来解決したかった事象を良くすることができません。
1W 『なぜ?』 2W 『なぜ?』3W と繰り返していき、
3W『なぜなら』2W『なぜなら』1W と逆算してみて、論理が繋がっているのか確かめましょう。
上記の悪い例では『製品が落下してしまった』事象に対して、『バランスを崩した』という結果しか記載がされていません。
良い例で示したように、『装置が製品を正しい位置で掴めなかったから』→『落下』というように、上下の繋がりを意識して分析をしていきましょう。
組織としての反省点を見出す
原因を明確にするうえで、個人の問題として終わらすのは望ましくないです。
たとえ不具合を発生させたのは、個人の失敗であっても『なぜその人はそのような作業をしてしまったのか?』組織の仕組みとしての問題点を抽出しましょう。
上記の悪い例では、個人の体調にスポットを当てて原因と言っています。
確かに体調不良(二日酔い)であったとしても、これを根本から解決する手段はありません。
対して良い例では、『設定が終わった後に確かめる仕組みがなかった』としています。たとえば、Aさんが設定終わった後、別のBさんがチェックをすれば防げた仕組みかもしれません。
二日酔いという部分に対策をするのであれば、作業前(出社時)にアルコールチェックをしても良いかもしれませんね。
このように、会社としての原因を見つけ、仕組みを改善するようにしましょう。
その組織ができる範囲で考える
これはすごい当たり前なのですが、繋がりがあるなぜなぜ分析をして、会社としての反省点を見出し、仕組みを改善する検討がなされても、その組織ではできない対策を挙げてしまってはムダです。
例えば、
『取引先にも協力してもらう必要があるけど、できませんでした!』とか、
『自社の人手不足が原因ですが、人の補充ができません!』とか、そういったケースです。
その組織ができる範囲で、原因を見つけ改善していきましょう。
”見やすい” なぜなぜ分析の作り方 ~1UPレッスン~
今までは基本的な、なぜなぜ分析のやり方を解説しました。
ここからは顧客へ報告する際に、”納得してもらえるような” なぜなぜ分析のポイントを解説いたします。
( ) を駆使して魅せる!なぜなぜ分析へ
なぜなぜ分析は単純な分析だからこそ、説明が難しく、人によって様々な意見がでてきます。
上下の繋がりを明確に記載しないと、報告時にもたくさんの指摘を受け、なかなか納得してくれません。この上下の繋がりをしっかり記載するため、報告書には()を駆使しましょう!
このように、1つのマスに(なぜ、〇〇は✖✖だったのか?)
という記載をすべてに入れていきます。こうすることで、分析をしている自分自身も上下の繋がりを意識することができ、報告書を読む顧客側も読みやすい報告書に仕上げることができます。
主語・述語を明確に!
報告書において基本的なことですが主語・述語が明確ではない、なぜなぜ分析をよくみかけます。
”誰が” ”何を” したから、そうなってしまったのか、明確に記載するようにしましょう。
このように、主語を明確に記載して『、』で区切ることで、
何がどう原因であったのかが読みやすくなるため、説明もつきやすくなります。
最後になぜなぜ分析を仕上げよう
ここまで解説してきたポイントを参考に、なぜなぜ分析を仕上げてみました。
もちろん一例ですが、主語・述語を意識し、()を駆使することで、上下の繋がりがわかりやすくなります。
参考にしていただければ幸いです!
FTAもおすすめ(余談)
余談になりますが、
なぜなぜ分析のように、1つ1つ掘り下げていく方法には FTA といったツールもあります。
FTAは根本原因を見つけていくツールではなく、要因を洗い出したり、要因同士の関係性を明確にする手法です。
コチラは、以下で解説しているので、よろしければご覧ください。
まとめ
- なぜなぜ分析は原因の深堀りを行い、根本原因を見つける手法
- 単純なツールゆえの落とし穴がたくさんある
- 上下の繋がりを意識して、分析をおこなう
- ()を駆使し、主語述語を明確にすることでわかりやすくまとまる
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