【IATF16949徹底解説】8.7.1.4 手直し製品の管理|要求事項の解説と解釈

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目次

ISO9001・IATF16949 第8章 運用

ISO9001:2015
IATF16949:2016
8 運用
ISO9001:2015 8.1 運用の計画及び管理
IATF16949:2016 8.1.1 用の計画及び管理 – 補足
IATF16949:2016 8.1.2 機密保持
ISO9001:2015 8.2 製品及びサービスに関する要求事項
ISO9001:2015 8.2.1 顧客とのコミュニケーション
IATF16949:2016 8.2.1.1 顧客とのコミュニケーション – 補足
ISO9001:2015 8.2.2 製品及びサービスに関連する要求事項の明確化
IATF16949:2016 8.2.2.1 製品及びサービスに関連する要求事項の明確化 – 補足
ISO9001:2015 8.2.3 製品及びサービスに関連する要求事項のレビュー
IATF16949:2016 8.2.3.1 ISO9001:2015 要求事項参照
IATF16949:2016 8.2.3.1.1 製品及びサービスに関連する要求事項のレビュー – 補足
IATF16949:2016 8.2.3.2 顧客指定の特殊特性
IATF16949:2016 8.2.3.3 組織の製造フィージビリティ
ISO9001:2015 8.2.4 製品及びサービスに関する要求事項の変更
ISO9001:2015 8.3 製品及びサービスの設計・開発
ISO9001:2015 8.3.1 一般
IATF16949:2016 8.3.1.1 製品及びサービスの設計・開発 – 補足
ISO9001:2015 8.3.2 設計・開発の計画
IATF16949:2016 8.3.2.1 設計・開発の計画 – 補足
IATF16949:2016 8.3.2.2 製品設計の技能
IATF16949:2016 8.3.2.3 組込みソフトウェアをもつ製品の開発
ISO9001:2015 8.3.3 設計・開発へのインプット
IATF16949:2016 8.3.3.1 製品設計へのインプット
IATF16949:2016 8.3.3.2 製造工程設計へのインプット
IATF16949:2016 8.3.3.3 特殊特性
ISO9001:2015 8.3.4 設計・開発の管理
IATF16949:2016 8.3.4.1 監視
IATF16949:2016 8.3.4.2 設計・開発の妥当性確認
IATF16949:2016 8.3.4.3 試作プログラム
IATF16949:2016 8.3.4.4 製品承認プロセス
ISO9001:2015 8.3.5 設計・開発からのアウトプット
IATF16949:2016 8.3.5.1 設計・開発からのアウトプット – 補足
ISO9001:2015 8.3.6 設計・開発の変更
IATF16949:2016 8.3.6.1 設計・開発の変更 – 補足
ISO9001:2015 8.4 外部から提供されるプロセス、製品及びサービスの管理
ISO9001:2015 8.4.1 一般
IATF16949:2016 8.4.1.1 一般 – 補足
IATF16949:2016 8.4.1.2 供給者選定プロセス
IATF16949:2016 8.4.1.3 顧客指定の供給者(指定購買 としても知られている)
ISO9001:2015 8.4.2 管理の方式及び程度
IATF16949:2016 8.4.2.1 管理の方式及び程度 – 補足
IATF16949:2016 8.4.2.2 法令・規制要求事項
IATF16949:2016 8.4.2.3 供給者の品質マネジメントシステム開発
IATF16949:2016 8.4.2.3.1 自動車製品に関係するソフトウェア
又は組込みソフトウェアを持つ製品
IATF16949:2016 8.4.2.4 供給者の監視
IATF16949:2016 8.4.2.4.1 第二者監査
IATF16949:2016 8.4.2.5 供給者の開発
ISO9001:2015 8.4.3 外部提供者に対する情報
IATF16949:2016 8.4.3.1 外部提供者に対する情報 – 補足
ISO9001:2015 8.5 製造及びサービス提供
ISO9001:2015 8.5.1 製造及びサービス提供の管理
IATF16949:2016 8.5.1.1 コントロールプラン
IATF16949:2016 8.5.1.2 標準作業-作業者指示書及び目視標準
IATF16949:2016 8.5.1.3 作業の段取り替え検証
IATF16949:2016 8.5.1.4 シャットダウン後の検証
IATF16949:2016 8.5.1.5 TPM(Total productive maintenance)
IATF16949:2016 8.5.1.6 生産治工具並びに製造, 試験, 検査の治工具
及び設備の運用管理
IATF16949:2016 8.5.1.7 生産計画
ISO9001:2015 8.5.2 識別及びトレーサビリティ
IATF16949:2016 8.5.2.1 識別及びトレーサビリティ – 補足
ISO9001:2015 8.5.3 顧客又は外部提供者の所有物
ISO9001:2015 8.5.4 保存
IATF16949:2016 8.5.4.1 保存 – 補足
ISO9001:2015 8.5.5 引き渡し後の活動
IATF16949:2016 8.5.5.1 サービスからの情報のフィードバック
IATF16949:2016 8.5.5.2 顧客とのサービス契約
ISO9001:2015 8.5.6 変更の管理
IATF16949:2016 8.5.6.1 変更の管理 – 補足
IATF16949:2016 8.5.6.1.1 工程変更の一時的変更
ISO9001:2015 8.6 製品及びサービスのリリース
IATF16949:2016 8.6.1 製品及びサービスのリリース – 補足
IATF16949:2016 8.6.2 レイアウト検査及び機能試験
IATF16949:2016 8.6.3 外観品目
IATF16949:2016 8.6.4 外部から提供される製品及びサービスの検証及び受入れ
IATF16949:2016 8.6.5 法令・規制への適合
IATF16949:2016 8.6.6 合否判定基準
ISO9001:2015 8.7 不適合なアウトプットの管理
IATF16949:2016 8.7.1 8.7.1
IATF16949:2016 8.7.1.1 特別採用に対する顧客の正式許可
IATF16949:2016 8.7.1.2 不適合製品の管理 – 顧客規定のプロセス
IATF16949:2016 8.7.1.3 疑わしい製品の管理
IATF16949:2016 8.7.1.4 手直し製品の管理
IATF16949:2016 8.7.1.5 修理製品の管理
IATF16949:2016 8.7.1.6 顧客への通知
IATF16949:2016 8.7.1.7 不適合製品の廃棄

8.7.1.4 手直し製品の管理

IATF16949要求事項のポイントを自分なりにまとめてみました。

組織は、製品の手直しを実施する判断を行う前に、FMEAのような手法を用いて、手直し工程のリスク分析を行う必要がある。

顧客から要求がある場合は、手直しを行う前に、必ず顧客の承認を得る。

手直し製品の要求事項(仕様など)への適合性を確実にするため、組織は、正規のコントロールプラン及び関係文書に従い再検査を実施しなければならない。

手直しを行うための『手直し指示書』などの文書には、再検査及びトレーサビリティの要求事項を含める。その、手直し指示書は、関わる全ての従業員がアクセスして利用できる状態を整えなければならない。

組織は、手直しを行った記録を残す必要がある。記録には、最低限『数量』『処置内容』『実施日(期間)』『トレーサビリティ情報』を含み、文書化した情報として保持する。

はじめに

次の要求事項に『8.7.1.5 修理製品の管理』というものがありますが、基本的には、この要求事項と同等の内容が書かれています。

ただし『手直し』と『修理』では、大きく異なるポイントがあります。

手直し製品では、要求事項に適合させることが求められているのに対し、修理製品では求められておらず、修理が正しくできたのか確認を行うことまでとなります。

これを解釈するためには、用語の定義を理解する必要があります。詳細はISO9000:2015の『用語及び定義』を参照してください。

手直しとは『要求事項に適合させるために行う処置』を示し、修理とは『使用できるように行う処置』を示します。

例えば、カーナビのような部品をイメージしてください。
カーナビの中には多数の半導体や電子部品が実装されています。その中の1つの半導体が壊れたとして、壊れた半導体を載せ替えて、仕様を満たした状態へ作り変え出荷する。
このことを『手直し』と定義されます。

ただ、組織が扱う製品によっては『再格付け』と呼ばれる対応をすることも可能です。簡単にいってしまえば【グレードを落として出荷する】ことをいいます。

この場合『使用できるように処置』を行ったうえで、Low grade品として出荷するため、もともとの仕様への適合性は回避されることになります。このように、意図された用途に見合う形に処置して受入れ可能とすることが『修理』に該当します。

解説(リスク分析と顧客承認)

組織は、製品の手直しを実施する判断を行う前に、FMEAのような手法を用いて、手直し工程のリスク分析を行う必要がある。
顧客から要求がある場合は、手直しを行う前に、必ず顧客の承認を得る。
IATFでは、手直し工程のリスク分析の実施が要求されています。一般的には、手直しを行う工程は、通常の生産工程とは物理的に離れた場所に設置されるかと思います

手直し工程の作業や環境を鑑み、潜在的リスクを認識し、対策を実施することで、リスク管理を行うことが要求されています。

FMEAはこちらで詳しくまとめています。

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なお、要求がある場合は、顧客承認を得たうえで手直しを行う必要があります。申請が遅れて出荷に影響しないようにしましょう。

解説(要求事項への適合)

手直し製品の要求事項(仕様など)への適合性を確実にするため、組織は、正規のコントロールプラン及び関係文書に従い再検査を実施しなければならない。
当たり前ですが、手直しを行った製品は使用や図面などの要求事項に適合していなくてはなりません。

そのため、正規のコントロールプランや、関係する文書化された情報をもとに、再検査を行い、要求へ適合していることを確実に確認したうえで、顧客へ出荷する必要があります。

その際は、通常の生産ロットとは異なる、例えば『追加工ロット』などを取得して行うことになると思います。

ロットを分けることで、通常生産品と区別ができるメリットがあるでしょう。

 
 

解説(指示書への反映事項)

手直しを行うための『手直し指示書』などの文書には、再検査及びトレーサビリティの要求事項を含める。その、手直し指示書は、関わる全ての従業員がアクセスして利用できる状態を整えなければならない。
手直しを実施するための指示書には、再検査に関係する指示内容を記載しなくてはなりません。また、どれが手直し品かトレーサビリティを確立しなくてはならず、それらがしっかりと実施できるように、顧客の要求事項に従い、適切に指示書を仕上げる必要があります。

どの顧客からは、どんな要求事項がきているのか明確にしておくことが望ましいです

また、それらの指示書は、関係する従業員が、いつでも利用できる環境を整える必要があります。

トレーサビリティに関するIATF要求事項は、こちらで詳しくまとめています。参考にしてみてください。

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解説(記録の保持)

組織は、手直しを行った記録を残す必要がある。記録には、最低限『数量』『処置内容』『実施日(期間)』『トレーサビリティ情報』を含み、文書化した情報として保持する。
手直しを行った場合は、その記録を残すように要求を受けています。

記録には、
・手直しを行った製品の数量
・手直し(処置)内容
・手直しの実施日もしくは期間
・手直し製品のトレーサビリティ情報
を最低限、含める必要があります。

顧客によっては、マーキングや貼り紙等で識別が要求される場合があります。その際は、顧客と合意した方法で識別を行いましょう。

参考に、識別に関する要求事項のリンクです。

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外資系Tier1メーカーで品質保証をしています。ADAS部品の開発が本業です。

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