【IATF16949徹底解説】8.3.2.3 組込みソフトウェアをもつ製品の開発|要求事項の解説と解釈

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目次

ISO9001・IATF16949 第8章 運用

ISO9001 及び IATF16949 の第8章 は、以下の通りです。ここが、品質マネジメントシステムを運用するうえでの規定が書かれており、一番のメイン所になります。要求事項は長く続きますが、是非、一緒に勉強をしましょう!
(下表の ”要求事項” の部分をクリックすると、解説ページにいけます。 )

ISO9001:2015
IATF16949:2016
8 運用
ISO9001:2015 8.1 運用の計画及び管理
IATF16949:2016 8.1.1 運用の計画及び管理 – 補足
IATF16949:2016 8.1.2 機密保持
ISO9001:2015 8.2 製品及びサービスに関する要求事項
ISO9001:2015 8.2.1 顧客とのコミュニケーション
IATF16949:2016 8.2.1.1 顧客とのコミュニケーション – 補足
ISO9001:2015 8.2.2 製品及びサービスに関連する要求事項の明確化
IATF16949:2016 8.2.2.1 製品及びサービスに関連する要求事項の明確化 – 補足
ISO9001:2015 8.2.3 製品及びサービスに関連する要求事項のレビュー
IATF16949:2016 8.2.3.1 ISO9001:2015 要求事項参照
IATF16949:2016 8.2.3.1.1 製品及びサービスに関連する要求事項のレビュー – 補足
IATF16949:2016 8.2.3.2 顧客指定の特殊特性
IATF16949:2016 8.2.3.3 組織の製造フィージビリティ
ISO9001:2015 8.2.4 製品及びサービスに関する要求事項の変更
ISO9001:2015 8.3 製品及びサービスの設計・開発
ISO9001:2015 8.3.1 一般
IATF16949:2016 8.3.1.1 製品及びサービスの設計・開発 – 補足
ISO9001:2015 8.3.2 設計・開発の計画
IATF16949:2016 8.3.2.1 設計・開発の計画 – 補足
IATF16949:2016 8.3.2.2 製品設計の技能
IATF16949:2016 8.3.2.3 組込みソフトウェアをもつ製品の開発
ISO9001:2015 8.3.3 設計・開発へのインプット
IATF16949:2016 8.3.3.1 製品設計へのインプット
IATF16949:2016 8.3.3.2 製造工程設計へのインプット
IATF16949:2016 8.3.3.3 特殊特性
ISO9001:2015 8.3.4 設計・開発の管理
IATF16949:2016 8.3.4.1 監視
IATF16949:2016 8.3.4.2 設計・開発の妥当性確認
IATF16949:2016 8.3.4.3 試作プログラム
IATF16949:2016 8.3.4.4 製品承認プロセス
ISO9001:2015 8.3.5 設計・開発からのアウトプット
IATF16949:2016 8.3.5.1 設計・開発からのアウトプット – 補足
ISO9001:2015 8.3.6 設計・開発の変更
IATF16949:2016 8.3.6.1 設計・開発の変更 – 補足
ISO9001:2015 8.4 外部から提供されるプロセス、製品及びサービスの管理
ISO9001:2015 8.4.1 一般
IATF16949:2016 8.4.1.1 一般 – 補足
IATF16949:2016 8.4.1.2 供給者選定プロセス
IATF16949:2016 8.4.1.3 顧客指定の供給者(指定購買 としても知られている)
ISO9001:2015 8.4.2 管理の方式及び程度
IATF16949:2016 8.4.2.1 管理の方式及び程度 – 補足
IATF16949:2016 8.4.2.2 法令・規制要求事項
IATF16949:2016 8.4.2.3 供給者の品質マネジメントシステム開発
IATF16949:2016 8.4.2.3.1 自動車製品に関係するソフトウェア
又は組込みソフトウェアを持つ製品
IATF16949:2016 8.4.2.4 供給者の監視
IATF16949:2016 8.4.2.4.1 第二者監査
IATF16949:2016 8.4.2.5 供給者の開発
ISO9001:2015 8.4.3 外部提供者に対する情報
IATF16949:2016 8.4.3.1 外部提供者に対する情報 – 補足
ISO9001:2015 8.5 製造及びサービス提供
ISO9001:2015 8.5.1 製造及びサービス提供の管理
IATF16949:2016 8.5.1.1 コントロールプラン
IATF16949:2016 8.5.1.2 標準作業-作業者指示書及び目視標準
IATF16949:2016 8.5.1.3 作業の段取り替え検証
IATF16949:2016 8.5.1.4 シャットダウン後の検証
IATF16949:2016 8.5.1.5 TPM(Total productive maintenance)
IATF16949:2016 8.5.1.6 生産治工具並びに製造, 試験, 検査の治工具
及び設備の運用管理
IATF16949:2016 8.5.1.7 生産計画
ISO9001:2015 8.5.2 識別及びトレーサビリティ
IATF16949:2016 8.5.2.1 識別及びトレーサビリティ – 補足
ISO9001:2015 8.5.3 顧客又は外部提供者の所有物
ISO9001:2015 8.5.4 保存
IATF16949:2016 8.5.4.1 保存 – 補足
ISO9001:2015 8.5.5 引き渡し後の活動
IATF16949:2016 8.5.5.1 サービスからの情報のフィードバック
IATF16949:2016 8.5.5.2 顧客とのサービス契約
ISO9001:2015 8.5.6 変更の管理
IATF16949:2016 8.5.6.1 変更の管理 – 補足
IATF16949:2016 8.5.6.1.1 工程変更の一時的変更
ISO9001:2015 8.6 製品及びサービスのリリース
IATF16949:2016 8.6.1 製品及びサービスのリリース – 補足
IATF16949:2016 8.6.2 レイアウト検査及び機能試験
IATF16949:2016 8.6.3 外観品目
IATF16949:2016 8.6.4 外部から提供される製品及びサービスの検証及び受入れ
IATF16949:2016 8.6.5 法令・規制への適合
IATF16949:2016 8.6.6 合否判定基準
ISO9001:2015 8.7 不適合なアウトプットの管理
IATF16949:2016 8.7.1 8.7.1
IATF16949:2016 8.7.1.1 特別採用に対する顧客の正式許可
IATF16949:2016 8.7.1.2 不適合製品の管理 – 顧客規定のプロセス
IATF16949:2016 8.7.1.3 疑わしい製品の管理
IATF16949:2016 8.7.1.4 手直し製品の管理
IATF16949:2016 8.7.1.5 修理製品の管理
IATF16949:2016 8.7.1.6 顧客への通知
IATF16949:2016 8.7.1.7 不適合製品の廃棄

第8章の運用では、組織の品質マネジメントシステムを実際に運用するためのプロセスについての要求事項が書かれています。ご覧の通り、ISO9001では不足していると判断し、IATF16949でたくさんの要求事項が追加されています。

8.3.2.3 組込みソフトウェアをもつ製品の開発

当該項目の、IATF16949要求事項のポイントを自分なりにまとめてみました。

組織は内部で開発される組込みソフトウェアをもつ製品に対して品質保証プロセスを適用しなくてはならない。

組織のソフトウェア開発プロセスを評価するために、ソフトウェア開発評価の方法論を利用する。

リスク及び顧客に及ぼす潜在的な影響に基づく優先順位付けを利用し、ソフトウェア開発能力の自己評価を文書化した情報として保持しなければならない。

ソフトウェア開発を内部監査プログラム(9.2.2.1 要求事項参照)の範囲に含めなければならない。

はじめに

自動車を構成する部品は、ソフトウェアを持たない樹脂や金属部品がほとんどですが、近年のADAS(先行運転支援システム)の発達により、ソフトウェアのもつ製品品質や安全性への影響が大きくなってきています。

製品事例として、自動ブレーキの制御やステアリングコントロール、カメラ映像の処理等が挙げられます。

これらの機能を実現するためには、ヘッドユニットやECUなどによる処理や制御が不可欠であり、ソフトウェアを用いる部品は年々増加傾向にあります。

それ故に、IATF16949でも「製品に組込まれるソフトウェアの開発」に関する要求事項が追加されました。このソフトウェア開発における、代表的な手法に『Automotive SPICE』があります。

なお、IATF16949を発行している国際自動車産業特別委員会のFAQ集によると「組込ソフトウェア」や「開発能力自己評価」について、以下のように解説されているので、ご参考にしてください。

* * *

組込ソフトウェアは、一般に時間及びメモリーの制約条件の下で作動する特定のハードウェ アに対して特別につくられるものです。

ソフトウェア開発能力自己評価は、組織が顧客仕様又は要求事項を満たすためのソフトウェアの設計開発に責任を有する場合に実施されます。

組織が製造する部品に使うためのソフトウェア開発プロセスを外部から調達する場合,組織 はそのソフトウェアの設計開発の責任を有する供給者が自動車産業ソフトウェア開発能力自己評価を実施したことを確実にする必要があります。

* * *

解説(ソフト開発へ品質保証プロセスの適用)

組織は内部で開発される組込みソフトウェアをもつ製品に対して品質保証プロセスを適用しなくてはならない。
「はじめに」で述べた通り、ソフトウェアが製品品質や安全性に及ぼす影響は大きくなってきています。

組織の品質保証プロセスに組込みソフトウェアの開発を適用し、組織は製品の品質担保を確実にしなくてはなりません。

 
 

解説(開発評価方法の確立)

組織のソフトウェア開発プロセスを評価するために、ソフトウェア開発評価の方法論を利用する。
組織が組込みソフトウェアの品質を確実にするために、開発が正しく行われ、確かなアウトプットを作り出しているのか確認をする必要があります。
 
即ち、ソフトウェアの開発評価についての方法(手法)を確立する必要がありますが、この典型例としては、『Automotive SPICE』の活用が挙げられます。
 
『Automotive SPICE』とは、欧州の完成車メーカーが中心となって作成した、車載ソフトウェア開発プロセスのフレームワークを定めた自動車業界の標準プロセスモデルとなります。
 
このモデルが策定された目的は、車載ソフトウェアの開発プロセスを定量的に評価することです。
 
特徴的なのが、発注者側が審査を行う点であり、供給者のプロセス監査で『尺度』として用いられます。
 
『Automotive SPICE』には『V字プロセス』という代表的な開発モデルが存在し、左側の傾斜(構築)が右側の傾斜(テスト・評価)と対応するが、確実に互いが分離している構成となっています。
 
Automotive SPICEの概要図
引用:Automotive SPICE PAM v3.1_Japanese

解説(リスク分析および開発能力の情報化)

リスク及び顧客に及ぼす潜在的な影響に基づく優先順位付けを利用し、ソフトウェア開発能力の自己評価を文書化した情報として保持しなければならない。
組織は、自社がもつソフトウェア開発能力の自己評価結果を、文書化した情報として保持しなくてはなりません。
 
全てを評価できることが可能であれば、それが理想ですが、実際はそうはいかないことが多いため、その際には、リスク及び顧客に及ぼす潜在的な影響に基づいて、優先順位をつけ、優先度が高い部分から評価を行います。
 

解説(内部監査の適用範囲)

ソフトウェア開発を内部監査プログラム(9.2.2.1 要求事項参照)の範囲に含めなければならない。
さらに組織は、ソフトウェア開発を内部監査プログラムの範囲に含めなくてはならないという要求事項が追加された。
 
Automotive SPICEを使うよう要求されている企業であれば、技術的には問題ないと思いますが、その活動が組織のQMSに組み込まれる必要があります。
 

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外資系Tier1メーカーで品質保証をしています。ADAS部品の開発が本業です。

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