【IATF16949徹底解説】8.5.6.1.1 工程管理の一時的変更|要求事項の解説と解釈

当記事のリンクには広告が含まれています

目次

ISO9001・IATF16949 第8章 運用

ISO9001:2015
IATF16949:2016
8 運用
ISO9001:2015 8.1 運用の計画及び管理
IATF16949:2016 8.1.1 用の計画及び管理 – 補足
IATF16949:2016 8.1.2 機密保持
ISO9001:2015 8.2 製品及びサービスに関する要求事項
ISO9001:2015 8.2.1 顧客とのコミュニケーション
IATF16949:2016 8.2.1.1 顧客とのコミュニケーション – 補足
ISO9001:2015 8.2.2 製品及びサービスに関連する要求事項の明確化
IATF16949:2016 8.2.2.1 製品及びサービスに関連する要求事項の明確化 – 補足
ISO9001:2015 8.2.3 製品及びサービスに関連する要求事項のレビュー
IATF16949:2016 8.2.3.1 ISO9001:2015 要求事項参照
IATF16949:2016 8.2.3.1.1 製品及びサービスに関連する要求事項のレビュー – 補足
IATF16949:2016 8.2.3.2 顧客指定の特殊特性
IATF16949:2016 8.2.3.3 組織の製造フィージビリティ
ISO9001:2015 8.2.4 製品及びサービスに関する要求事項の変更
ISO9001:2015 8.3 製品及びサービスの設計・開発
ISO9001:2015 8.3.1 一般
IATF16949:2016 8.3.1.1 製品及びサービスの設計・開発 – 補足
ISO9001:2015 8.3.2 設計・開発の計画
IATF16949:2016 8.3.2.1 設計・開発の計画 – 補足
IATF16949:2016 8.3.2.2 製品設計の技能
IATF16949:2016 8.3.2.3 組込みソフトウェアをもつ製品の開発
ISO9001:2015 8.3.3 設計・開発へのインプット
IATF16949:2016 8.3.3.1 製品設計へのインプット
IATF16949:2016 8.3.3.2 製造工程設計へのインプット
IATF16949:2016 8.3.3.3 特殊特性
ISO9001:2015 8.3.4 設計・開発の管理
IATF16949:2016 8.3.4.1 監視
IATF16949:2016 8.3.4.2 設計・開発の妥当性確認
IATF16949:2016 8.3.4.3 試作プログラム
IATF16949:2016 8.3.4.4 製品承認プロセス
ISO9001:2015 8.3.5 設計・開発からのアウトプット
IATF16949:2016 8.3.5.1 設計・開発からのアウトプット – 補足
ISO9001:2015 8.3.6 設計・開発の変更
IATF16949:2016 8.3.6.1 設計・開発の変更 – 補足
ISO9001:2015 8.4 外部から提供されるプロセス、製品及びサービスの管理
ISO9001:2015 8.4.1 一般
IATF16949:2016 8.4.1.1 一般 – 補足
IATF16949:2016 8.4.1.2 供給者選定プロセス
IATF16949:2016 8.4.1.3 顧客指定の供給者(指定購買 としても知られている)
ISO9001:2015 8.4.2 管理の方式及び程度
IATF16949:2016 8.4.2.1 管理の方式及び程度 – 補足
IATF16949:2016 8.4.2.2 法令・規制要求事項
IATF16949:2016 8.4.2.3 供給者の品質マネジメントシステム開発
IATF16949:2016 8.4.2.3.1 自動車製品に関係するソフトウェア
又は組込みソフトウェアを持つ製品
IATF16949:2016 8.4.2.4 供給者の監視
IATF16949:2016 8.4.2.4.1 第二者監査
IATF16949:2016 8.4.2.5 供給者の開発
ISO9001:2015 8.4.3 外部提供者に対する情報
IATF16949:2016 8.4.3.1 外部提供者に対する情報 – 補足
ISO9001:2015 8.5 製造及びサービス提供
ISO9001:2015 8.5.1 製造及びサービス提供の管理
IATF16949:2016 8.5.1.1 コントロールプラン
IATF16949:2016 8.5.1.2 標準作業-作業者指示書及び目視標準
IATF16949:2016 8.5.1.3 作業の段取り替え検証
IATF16949:2016 8.5.1.4 シャットダウン後の検証
IATF16949:2016 8.5.1.5 TPM(Total productive maintenance)
IATF16949:2016 8.5.1.6 生産治工具並びに製造, 試験, 検査の治工具
及び設備の運用管理
IATF16949:2016 8.5.1.7 生産計画
ISO9001:2015 8.5.2 識別及びトレーサビリティ
IATF16949:2016 8.5.2.1 識別及びトレーサビリティ – 補足
ISO9001:2015 8.5.3 顧客又は外部提供者の所有物
ISO9001:2015 8.5.4 保存
IATF16949:2016 8.5.4.1 保存 – 補足
ISO9001:2015 8.5.5 引き渡し後の活動
IATF16949:2016 8.5.5.1 サービスからの情報のフィードバック
IATF16949:2016 8.5.5.2 顧客とのサービス契約
ISO9001:2015 8.5.6 変更の管理
IATF16949:2016 8.5.6.1 変更の管理 – 補足
IATF16949:2016 8.5.6.1.1 工程変更の一時的変更
ISO9001:2015 8.6 製品及びサービスのリリース
IATF16949:2016 8.6.1 製品及びサービスのリリース – 補足
IATF16949:2016 8.6.2 レイアウト検査及び機能試験
IATF16949:2016 8.6.3 外観品目
IATF16949:2016 8.6.4 外部から提供される製品及びサービスの検証及び受入れ
IATF16949:2016 8.6.5 法令・規制への適合
IATF16949:2016 8.6.6 合否判定基準
ISO9001:2015 8.7 不適合なアウトプットの管理
IATF16949:2016 8.7.1 8.7.1
IATF16949:2016 8.7.1.1 特別採用に対する顧客の正式許可
IATF16949:2016 8.7.1.2 不適合製品の管理 – 顧客規定のプロセス
IATF16949:2016 8.7.1.3 疑わしい製品の管理
IATF16949:2016 8.7.1.4 手直し製品の管理
IATF16949:2016 8.7.1.5 修理製品の管理
IATF16949:2016 8.7.1.6 顧客への通知
IATF16949:2016 8.7.1.7 不適合製品の廃棄

nn 工程管理の一時的変更

IATF16949要求事項のポイントを自分なりにまとめてみました。

検査、測定、試験、ポカヨケ装置等を含む工程管理リストを文書化し、維持しなければならない。そのリストには、初期の工程管理に加え、承認されたバックアップや代替方法(暫定工程)の記録も含める必要がある。

組織は、代替方法(暫定工程)を使用する際に、適切な運用管理を行うために、文書化した管理プロセスを構築し、維持しなければならない。

組織は、この文書化した管理プロセスに、リスク分析(FMEAのような)に基づき、代替の重大性を判断し、暫定工程の代替的な管理方法を決定し社内責任者による内部承認を得ることを、組み込まなくてはならない。

代替手法(暫定工程)をして使用して製造された製品を顧客へ納入する場合、顧客から要求があるときに限り、検査又は出荷前に顧客の承認を取得しなければならない。

組織は、代替手法(暫定工程)のコントロールプランに、承認された代替工程管理方法が記載され、維持し定期的にレビューしなければならない。

代替手法(暫定工程)の標準作業指示書は、各管理方法に対しての具体的な手順を定め、現場で利用可能な状態にしなければならない。

組織は、正規のコントロールプランで定められた標準工程へ速やかに戻せるように、暫定期間の解除目標を定める。また最低限、日常的に以下をレビューしなければならない。例として次の事項を含めるが、それらに限定されない。
① 日常的な品質を重視とした工程監査(監視)
② 日常的なリーダー会議
ポカヨケ装置・工程の全ての機能が有効に復帰している確認に基づいて、再稼働検証の記録を文書化する。

組織は、代替手法(暫定工程)で生産された全ての製品に対し、トレーサビリティを実施しなければならない。(例 シフトやロット毎の初品及び終品の検証・保管)

 

はじめに

この要求事項は、例えば自動検査装置など、工程に設置されている設備類が故障した場合に、代替手法による暫定対処を行う場合に適用される要求事項となります。

暫定工程で運用される帳票類(例えば、コントロールプランや作業指示書や設備リスト等)を作成し、組織内部でレビュー・承認されたうえで、使用しなくてはなりません。

解説(暫定工程の記録)

検査、測定、試験、ポカヨケ装置等を含む工程管理リストを文書化し、維持しなければならない。そのリストには、初期の工程管理に加え、承認されたバックアップや代替方法(暫定工程)の記録も含める必要がある。

組織は、代替方法(暫定工程)を使用する際に、適切な運用管理を行うために、文書化した管理プロセスを構築し、維持しなければならない。

工程管理リストとしては、工程の管理手法が詳細に記載されているコントロールプランを用いるのが一般的となります。コントロールプランには、工程設備のみでなく、各工程を管理するうえでのサンプリングの数や測定方法が記載され、NG判定が確認できた際の是正処置に関しても記載されています。

日本の製造業を支えてきたQC工程図を、自動車業界用に改善した帳票となり、厳しい品質の要求事項を記載しなくてはならないものです。コントロールプランに関しては、以下の記事で詳しくまとめています。

あわせて読みたい
【わかりやすく解説】自動車産業で使われるコントロールプランとは?|なに?使い方は?作り方は?意味は... 当記事のリンクには広告が含まれています 今回は、自動車業界でお勤めの方は皆知っている【コントロールプラン】について解説をしていきたいと思います。 こんな方にオ...

当要求事項は、例えば設備の故障などで、代替設備(ここでは、代替方法や暫定工程と表記)を使用して製造しなくてはならなくなった際にも、適切な工程管理を実現するために、暫定工程用のコントロールプランを作成し、暫定工程の管理手法を明確にする必要があります。

暫定工程を使用する際に、適切にコントロールプランや作業指示書当の作成を実現するように、文書化したプロセス(QMS)を構築して維持しなくてはなりません。

解説(リスク分析の実施)

組織は、この文書化した管理プロセスに、リスク分析(FMEAのような)に基づき、代替の重大性を判断し、暫定工程の代替的な管理方法を決定し社内責任者による内部承認を得ることを、組み込まなくてはならない。
PPAPで承認を受けた工程とは異なる暫定工程を使用する、即ち量産移行に工程へ変化点が加わる場合は、今まで生産してきた製品と品質が異なる可能性が生じるため、品質への影響有無を判定するために、組織はリスク分析を行わなくてはならないと要求されています。
例えば、生産設備A(正規量産設備)のトラブルで、一時的に生産設備B(代替生産設備)で生産を行う場合、生産設備Bを導入することで品質問題が生じる可能性はないのかFMEAなどを用いてリスク分析を行います。設備によって、操作方法や手順が異なったり、セッティング等も通常とは異なる可能性があるので、P-FMEAの見直しや新規策定で、品質問題へのリスク分析を行い、必要に応じて対策を実施します。
FMEAに関する記事は、以下で詳細にまとめました。
あわせて読みたい
【誰でも分かる解説!】品質を高める秘訣、FMEAとは?作り方やテンプレートを解説 当記事のリンクには広告が含まれています 皆さんはFMEAというツールを知っていますか?故障モードとその影響を分析するツールになり『Failure Mode and Effects Analysi...

また、社内規定に基づき、適切な責任者による承認を得たうえで、暫定工程を使用しなくてはならないと要求されています。

解説(顧客承認の受領)

代替手法(暫定工程)をして使用して製造された製品を顧客へ納入する場合、顧客から要求があるときに限り、検査又は出荷前に顧客の承認を取得しなければならない。
顧客から要求がある場合に限り、暫定工程の仕様前、もしくは、暫定工程で生産された製品を顧客へ納入する前に、顧客へ申請して承認を得なくてはなりません。
一般的には、顧客からサプライヤへ配られる品質マニュアルなどに、申請をしなくてはならないケースが事細かに記載されています。
 

解説(コントロールプランのレビュー)

組織は、代替手法(暫定工程)のコントロールプランに、承認された代替工程管理方法が記載され、維持し定期的にレビューしなければならない。
承認された暫定工程の管理方法をコントロールプランに記載し、その内容が維持しなくてはなりません。そのために、定期的なレビューが要求事項で求められています。
 

解説(標準作業指示書の管理)

代替手法(暫定工程)の標準作業指示書は、各管理方法に対しての具体的な手順を定め、現場で利用可能な状態にしなければならない。
代替工程を使用することで、作業標準を改定しなくてはならない場合も存在するため、そのようなケースの場合は、暫定的な作業指示書を作成し、工場で周知・教育を行わなくてはなりません。
この作業指示書は、工場で常にいつでも利用ができる状態で保管します。
 

解説(暫定解除目標と品質確認)

組織は、正規のコントロールプランで定められた標準工程へ速やかに戻せるように、暫定期間の解除目標を定める。また最低限、日常的に以下をレビューしなければならない。例として次の事項を含めるが、それらに限定されない。
① 日常的な品質を重視とした工程監査(監視)
② 日常的なリーダー会議
ポカヨケ装置・工程の全ての機能が有効に復帰している確認に基づいて、再稼働検証の記録を文書化する。
暫定工程は、いつか解除されなくてはならない工程となります。そのため、暫定期間の解除目標を定める必要があります。そうしないと、ズルズルいつまでも暫定工程を使用し続け、それが恒久工程へとなりかねないためです。
なので、いつまでに暫定工程を終了し、正規の量産工程に戻すべきか目標を定めます。
 
また、日々の進捗や品質状況を監視するために、品質を重視とした工程監視や、リーダー会議(部門長会議)などを日常的に行い、暫定工程に関して監視をしていきます。
 

解説(トレーサビリティ)

組織は、代替手法(暫定工程)で生産された全ての製品に対し、トレーサビリティを実施しなければならない。(例 シフトやロット毎の初品及び終品の検証・保管)
暫定工程で生産された製品は、どこから(初品)どこまで(終品)なのか、トレーサビリティをロットやシリアル番号などで管理する必要があります。
これは、万が一、暫定工程で製造した製品に、重大な品質的欠陥が確認された場合に、市場対応(リコール等)に備えて行うものです。
暫定工程で製造されたものの頭出し品は、いつ顧客へ納入されたものなのかトレースができると、顧客側もどの車輛に実装され、どのユーザー様に販売されたものなのか、車体番号から追うことができます。
 

IATF16949要求事項一覧へ

 

トップページへ戻る

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

Twitterプロフィール
外資系Tier1メーカーで品質保証をしています。ADAS部品の開発が本業です。

コメント

コメントする

目次